チームプレイ その2

さて。研修医の仕事とは何か。

 

大病院の場合、患者さんの主治医は基本的に 研修医です。

 

えー? かっこいー! とか

すぐに主治医なんて出来るの~? とか色々反応あるでしょうが、

 

主治医っていうのは、

基本的にその患者さんの採血をしたり、点滴ラインを採ったり、

聴診したり触診したり 次の検査内容を考えたり いろんな手続きしたり

薬の処方をしたり 食事の内容を決めたり 話を聞いたり

担当看護師さんのご機嫌をとったり

 

つまり雑用係です。

 

治療戦略とか大きな検査方針とか 病状説明の基本方針とか(癌や余命告知とか)は、

患者さんに見えないところで

黒幕たるオーベン(=上級指導医)軍団が色々暗躍して研修医を操ってます。

 

 

さて そんな研修医の仕事の中でも、この時期一番難渋するのが点滴刺し。

だんだんとコツを掴んできたような気もしますが、

手先が不器用な私には何とも苦手な仕事のひとつです。

 

 

若い患者さんは血管もピチピチしてるのである程度大丈夫なんだけど、

高齢者は血管が硬くなってたり、皮膚がたわんでいたり、血管が潰れてたりして、

血管が見えてるのに、血管が逃げてしまって入らないとか

パンパンに浮腫んでいてどこに血管があるのか分からないとか

異常に血管が細かったり蛇行してたりして

 

 

何回刺しても

全然入らないときがあるのです。しかも夜中とか。

当直の同僚を呼びつけて二人で四苦八苦しても全然入らないし。

 

 

でも、ライン採り(=点滴刺すこと)ぐらいでオーベンを叩き起こすわけにもいかず、

かといって このままだと永遠に点滴入れられないよ~

と弱気になったときの魔法の一言を開発しました。

 

 

オーベンの寝ている仮眠ベッドに足音を忍ばせて恐る恐る近づき、

 

「すみません、浮腫がひどくてラインがなかなか採れません、

このままだと患者さんとトラブルになりそうなので

申し訳ないのですがお願いできないでしょうか」

 

これ、結構使えます。

この一言がありさえすれば、

 

「え~?ライン採り?俺眠いし・・・華ちゃん、ネバーギブアップだ、頑張れ」

と、戦場に1人送り返されることはありません。

 

「そうか。。。じゃあ俺がやるよ」

 

と快くお引き受けいただけます。

とはいえ、こういう人は上級医もライン採りに苦戦することが多いですが。。。

 

 

さて、この魔法の一言、結構いろんな場面で使えます。

 

 

こちらの揚げ足ばかりとって文句ばかりつける患者さんに病気の説明をする時。

飲薬拒否の患者さんにどうしても治療の同意をもらいたいとき。などなど。

 

 

「トラブルになりそうなので、一緒についてきていただけないでしょうか」

 

 

と言うと、ついてきてくれるばかりではなく、実行もしてくれるので大助かりです。

とにかく、

 

 

自信がないことに取り組む時は 周りの力を最大限に活用しよう!

 

 

が、この時期の研修医の魂胆であります。

ある意味、寄生虫のような研修医生活を満喫しております(^^;)

 

チームプレイ その1

現場に入って1ヶ月半が過ぎ、少しだけ慣れてきました。

 

 

最初は看護師さんに怒られ・嫌味を言われ・こき使われ

よく、世間の男性諸君が

「看護師さんって優しそうだし、合コンしたいな★」

なんて言ってるのは まったくもって アンビリバボー!!

世界中で看護師さんほど怖い人種はいなーーーいっ!!

とか思ってました。

 

 

小さい頃、

普段は ガナリ声で自分を叱り付けている母親が、

電話に出たとたん、声が1オクターブ上がって、お上品に話している姿は

誰もが目にする「女の豹変ぶり」だと思いますが、看護師さんもアレと同じです。

 

 

でも、

 

 

当直の時に夜勤の看護師さんとお喋りしてると段々仲良くなったりして、

担当患者さんが亡くなってしまった時には励ましてくれたり、

今度一緒に飲みましょうよー。 とか誘ってくれたりします。

 

 

仲良くなると、看護師さんは意外とイイヤツ。

 

 

担当患者さんの相談も色々できて、

診断がつかなくて困り果てたときとかは、

経験談を話してくれたりして参考になるし、

 

 

朝行くとすぐに、「センセー、待ってたよ~、昨日の夜○○さんがねぇ~」

って、足早に寄ってきて 詳しい報告をくれるので、

看護記録をいちいち読まなくても患者さんの状態の把握がすぐ出来て、

いいことづくめです。

 

 

が、逆に当直の時とかは、

「△△さんのこと・・・困ったなぁ どうしよう。。。

あ!当直メンバーの中に華がいるじゃん!おっしゃ、華に聞いてやろー」

って、気軽な気分になるらしく、

他の1年生には全くコールしないのに、

ジャンジャカジャンジャカ PHS鳴らされて起こされるのでちっとも眠れません。

(↑都合のいいようにコキ使われてるとも言う)

 

 

でも、とにかく、

自分の担当患者さんのことは出来る限り多くの人に知らしめる

ことが大事なんじゃないかと思えてきました。

 

 

小さいことでも同僚や上司や看護師さんに色々愚痴ったり相談したりしてると、

私の担当患者さんに自然と注目してくれて、

色んな角度からアドバイスがあったり、

 

私が他のことで忙しくしてて、なかなか患者さんに会いにいけなくても、

患者さんの小さな変化も教えてもらえたりして、

次の検査計画を決めるときの参考に出来たりします。

みんなが私の患者さんを把握してくれると、すごく安心です。

 

 

それに、

カンファレンスで 看護師さんが教えてくれたことをそのままの表現で発表すると

「キミ、よく観察してるねぇ」

とお褒めの言葉ももらえたりするし。。。(^^;) ただの受け売りで済みません。。。

 

 

ちなみに、オーベン(=上級指導医)の使い方も少し覚えました。

それはまた今度~。

 

当直

10日間に4回のペースで当直をこなしている華です。

 

当直っていうのは 恐ろしいシステムで、

医者になる前は

「そんな話、嘘に決まってるがな」

ってタカを括っていたのですが、

 

一応説明すると、

 

まず、仕事開始は朝7時

入院患者さんの採血とかレントゲン撮影とか 体の状態のチェックをやって、

でもって、

なんだかんだと仕事が一段落するのが夜8時

 

当直の日は、引き続き仕事して

仕事して仕事して仕事して

歩き回って走り回って 走って歩いて 歩いて走って

急変患者さんに対処したり 看護師さんにセッツカレたり

次の日の朝7時まで休むことなく働きます

 

(いや、休むことなくっていうのは嘘。1~3時間くらい眠れる。)

 

ところが仕事はここでは終わることなく、

エンドレスワーク、ワーキングスパイラル。

 

で、朝になるとまた仕事開始時間になるので、

採血したりレントゲンしたり 体調のチェックをしたり

そして夜8時まで働いて、やっとここで開放です

 

 

つまり 連続勤務時間 35時間

 

 

キツイことキツイこと。

 

カルテでも書こうと思って椅子に座ると ガクリと寝てしまうので、

出来るだけ立ち姿勢をキープすることがコツです。

 

この当直が、早ければ2日に1回、長ければ3日に1回めぐってきます。

休日は月に1日、やっとこさもらえます。ちなみに明日がその貴重な休日。

 

ワイワイと祭りのように進む仕事も結構あるので、

怒られても怒られてもヘコタレず、意外にも楽しくやっちゃってるのですが、

 

 

当直でフラフラになってるときに、

そんでもって

生きるか死ぬかの重症患者さんのところに駆けつけなくちゃいけないときに、

 

「昼間は病院込んでるから 夜間の救急外来に来てみたわ!

お金は払うわよ、アタシは忙しいのよ、

さぁ、医者ならツベコベ言わずにさっさと薬を出しなさいっ!」

 

みたいな患者さんの外来をやらなくちゃいけなかったり、

(↑うちは夜間外来の担当は研修医)

 

「一昨日から症状はあったんだけど、夜になって不安になっちゃって...」

 

みたいな人を診なくちゃいけなかったり、

 

結局のところインフルエンザだの便秘だのって人だったりすると、

 

なんとなく

だったら昼間こいよっ

と内心思ってしまう今日この頃です。

 

それにこういうタイプの患者さんって、

どうしても重症患者さんのところに行かなくちゃいけないから、

とりあえず採血結果が出るまでの間、点滴につないで

少しの間、重症患者さんのところに駆けつけていると、

自分が後回しにされちゃったと思うらしく、怒り出しちゃうんですけど。。。

これが一番気が重いなぁ。

 

 

この愚痴を上司に漏らしたら、

 

あのね、そういう人はね、遠慮なく点滴入れちゃっていいわよ

失敗しても、5回まで刺しちゃっていいわよ

動脈採血も何回かチャレンジしちゃっていいわよ

だって

この時期(=新人がウロチョロする時期)に しかも夜間に

大病院を診療所代わりに使う方が悪いんだものっ!!

 

と力強い許可をいただきました。

 

 

ちなみに点滴ライン入れはちょっと苦手です。今月はサーフロー強化月間にします。

 

ホントにあった恐い話?

就職してみて、日々研修医の生活が明らかになっていきます。。。

私の母校の研修医は、当直もオンコールも基本的に免除されているので、

基本的に1日14時間も働けば 用が足りる仕組みになっており、

かなり楽しげな研修生活を送っていたので そんなもんかと思っていましたが、

 

 

研修医といえば、一般的に超キツイ仕事の代名詞、

いやはや聞くだに凄まじいものがあります。

 

 

この病院に限ったことかどうかは知りませんが、

 

 

3泊4日間、一睡も出来ずに仕事をしていたら

目から血が出てきた

 

 

とか

 

 

当直の夜、やれやれやっと眠れると思って、

ずっと気になっていた 耳かきをしようと思い、

耳に綿棒を入れたところ、

その瞬間 睡眠に落ち崩れてしまって、

綿棒が耳の奥深くに入り、

鼓膜を破ってしまった

 

 

とかいう話を聞くんですけど~

(どちらも去年あったことらしい)

 

 

研修医が終わってもそれで悠々自適に入る訳でもなさそうで、

ある日の女医さん達の会話は、

『どれだけ家がヒドイことになっているか対決』

 

流しに置いた食器にカビが生えていた とか

洗濯する時間がなく 次々と病院で新品下着を買ったら、下着70枚になった とか

生ゴミを出し忘れたまま1ヶ月半放置したら×△□※×○・・・ とか

(↑働きすぎて家に帰れないからです、先生達の名誉のため、念のため)

 

ああもうそんな家で私も暮らすのか暮らすのか?!

と目の前が真っ暗になるような 豪快な話ばかりでした。

 

ちなみに

『ある日家に帰ってみたら、卵が爆発していた』

という女医さんがいたそうで、

『さすがに 卵が爆発するなんて聞いたことないわー』 と感動され、

押しも押されもせぬチャンピオンの栄冠を手にしたそうです。

 

 

私の場合、今のところ洗濯物は溜まることなく洗えています。

 

おいしゃさんのマナーブック

そろそろ就職。。。

っちゅう ことで、

「社会人のマナーブック (おいしゃさんバージョン)

が渡されました。

 

 

内容的には、普通の社会人のマナーブックと大差ないのですが、

意外だったのはこれ。

 

 

患者さんの家に電話を掛けるときは、

所属は名乗らないこと

 

 

つまり、

「○○病院××科の山田熊子と申します、虎夫さんいらっしゃいますか」

は不正解で、

「山田熊子ですが、虎夫さんいらっしゃいますか」

が正解ということになりますね。

 

 

なぜかというと、

「○○病院××科」 と名乗ってしまうと、

虎夫さんが その病院を受診したことが家族にバレてしまい、

個人情報保護の観点から よろしくない、ということらしいです。

 

 

確かに、家族に内緒で受診したいという人も多いはずだけど、

所属を名乗らないなんて、

サラ金業者と 興信所しかないんじゃないか?

と思っていただけに、

なんかますます怪しい職業に就いてしまう予感。。。

 

 

ただ、ですよー?

患者さんって、外来で担当した医師の名前なんて覚えてるんですかね?

 

 

ここで、ひとつの例を考えてみましょう。

 

45歳・既婚の虎夫さんは、不特定多数との性交渉の末、

性病にかかっているんじゃないかと怖くなり、病院を受診したとします。

 

病院で血液検査をしてもらいましたが、

結果が出るのは明日だそうです。

でも、仕事が忙しく、これ以上会社を休むわけに行きません。

だから、「結果は電話で教えてください」と外来担当医に依頼したとします。

 

さて翌日。外来担当医の 山田熊子先生、虎夫さんに電話をかけます。

「あの、ワタクシ、山田熊子と申しますが、虎夫さんいらっしゃいますか?」

この電話を取った 虎夫さんの奥様、ピンときてしまいます。

 

「ははーん、最近 虎夫が怪しいと思ったら、この女ね!!」

 

尻尾をとっつかまえてやろうと思った奥様、

「どちらの熊子さんですか?」

「あ、あの、山田熊子と伝えて下されば分かります」

 

ムッときた奥様、受話器をつかんだまま 虎夫さんを キッ とにらみつけ、

「あなたっ!熊子っていう若い女から電話よ!!覚えがあるでしょ?」

 

外来担当医の名前をまともに覚えていない上に、

奥様のお怒りにうろたえてしまう虎夫さん、

「く、くまこー? そんな女知らないよー (@_@;)」

 

奥様の怒りは熊子先生に大爆発、

「うちの主人、あなたみたいな人知らないって申してますわよ!!」

「あ、あの、そうじゃなくて、

あの、あ、あの、昨日お会いしました山田熊子と言えばわかりますっ」

「んまー!昨日会ったのね!アナタみたいな泥棒猫は知りません!」

。。。。ガチャッ!!

 

 

・・・みたいな。

外来担当するのは まだまだ先の話だから良いんですけどねー。

なんとなく、このマナーに一抹の不安を覚える昨今でした。

 

 

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